書評〜栗本薫〜
タイトル一覧3>
キャバレー | 翼あるもの | 真夜中の天使 | 六道ヶ辻 大導寺一族の滅亡 | 六道ヶ辻 ウンターデンリンデンの薔薇 | 六道ヶ辻 大導寺竜介の青春 | 六道ヶ辻 墨染の桜 | 六道ヶ辻 死者たちの謝肉祭 | 魔都 | ネフェルティティの微笑み | 絃の聖域 | 優しい密室 | 鬼面の研究 | 天狼星 | 天狼星2 | 天狼星3 | 新・天狼星 ヴァンパイア | 新・天狼星 ゾディアック | 仮面舞踏会 | 魔女のソナタ | タナトスゲーム | 聖者の行進 | 水曜日のジゴロ | 真夜中のユニコーン
キャバレー ★★★★★
栗本薫流ハードボイルド。映画化されたので、知っている人もいるかな?
けっこういい家庭に育ち、いい大学に入って、ジャズが心底好きになってしまった青年。
場末のキャバレーで、まわりとのギャップに四苦八苦しながら、プロのジャズマンとして働き始める。
普通、小説ってストーリーが重要だったり、文章だったりするんだけど、栗本氏の場合はまさに筆力だとしか言いようがない。
映画なら、映像なのでその情景が伝わってくるけれど、氏の場合、文章だけでその情景が簡単に浮かび、そしてその場の匂いまで感じとれてしまいそうな雰囲気。
ページを開いた瞬間から、その本の世界に嫌でも引きずりこまれ、出て来れなくなる。
翼あるもの ★★★★★
JUNE系作品、と取られがちの作品ですが、芸能界で生きて行くために男娼まがいのことをしてまでのし上がって行く。
そんな青年の姿がとてもリアルで、そしてまた胸にずしんと来た。
この作品が出た当時、雑誌「JUNE」がさかんだったので、正統な作品というよりはやおい扱いを受けているけれど、ひとつの文学としてもいい作品だと思う。
真夜中の天使 ★★★★★
こちらもJUNE作品として見られてしまう作品。
だけど、翼あるものと同じで、芸能界の厳しい中を生き抜いていこうとする、今西良の姿には心奪われる。
男同士のSEXとか、そんなものが書きたいんじゃない。
氏が書くのはあくまでも人間だ。
今西良の生き方、魂の叫び、そんなものに私は魅了されて、読後1週間ボケーっとしてた覚えがあります(苦笑)
六道ヶ辻 大導寺一族の滅亡 ★★★★★
平安時代から連綿と続く旧家・大導寺家。その一人息子の静音(しずね)は、毎年恒例の虫干し行事のさなかに奇妙なノートの束を発見する。
というところから始まるストーリー。
この人に古い時代の日本を書かせたら、右に出る人はいないだろう。
ミステリーといえばミステリー。
しかし、最後の 「――六道ヶ辻にいくたびこの身は迷うとも、六道能下の導きはいらぬ。儂は幾度なりとも畜生道に踏み迷い、天上界へは成仏せず――」という言葉が、大導寺家を言い表している。
六道ヶ辻 ウンターデンリンデンの薔薇 ★★★★★
大導寺一族の家系図から消えている一人の少女。大導寺笙子。
女性ふたりの遺骨が見つかるところから物語ははじまります。
女学校で、同級生の女性に憧れるところから始まる、まるで吉屋信子のストーリーを想像しちゃいそうですが、結構暗いかも(苦笑)
はじめは、声をかけられるだけで喜んでいたのに、どんどん二人の距離が縮まり、そのことでいじめられた笙子をかばうあたりから二人の仲は急速に縮まって行きます。
最後には、二人は心中します。激しいまでのまっすぐな想いに思い切り泣きました。思い入れの強い作品。
六道ヶ辻 大導寺竜介の青春 ★★★
昭和初期、連続殺人鬼「赤マント」が出没する帝都東京。華族の御曹司三人の子供時代の終わりを描く、という話し。
ちょっと江戸川乱歩調の作品。
でも、大導寺竜介の青春と言うよりは、正直、藤枝清顕の青春の方があってるような…。
まぁ、大導寺シリーズなんで仕方ないんですが。
でも、藤枝清顕が可愛い。
六道ヶ辻 墨染めの桜 ★★★★
シリーズを通しての主要人物・大道寺静音が出会った遠縁の老婆の昔語り。名家令嬢の幼い恋をミステリー風味で描くロマン。
大導寺竜介などの男くささから、今度は一転して、女性の柔らかさが出て来た作品。
だけど、やっぱり大導寺シリーズだけあって、悲劇です。
六道ヶ辻 死者たちの謝肉祭 ★★★
終戦直後の東京。街では人食い鬼の仕業と噂される猟奇的な連続殺人事件が起こっており、犯人として西郷が疑われてしまう。
そんな彼を助けたのはダイドウジを名乗る人物だった――。大道寺と大導寺。死者たちの宴に彩られ、彼ら一族の忌まわしき過去が紐解かれていく。
今回の物語の舞台は、明治でも大正でもなく、昭和の戦後です。氏にしては珍しい時代です。
まぁ、でも退廃的な時代…という点では氏の強い時代か。
しかし、シリーズもここまで来て、こんなに救いがないのも…と思ってしまった。
魔都 ★★★★★
中島梓(栗本薫の別名)のミュージカル化された作品の原作。明治時代、恐怖仮面が跋扈する。栗本薫お得意のレトロ日本。
現代において、昔の古き良き日本のミステリが書けるのは、もしかしたら、この人かもしれない。そんな風に思う一冊です。
ネフェルティティの微笑み ★★★★★
失恋を癒しに出かけたエジプトで、古代エジプトの美女・ネフェルティティを思わせる女性と出会う…。
私はこの作品を読むまで、ネフェルティティについて知らなかったのですが、この作品を読んで、すごく興味を持ち、調べました。
史実に出てくるネフェルティティと作品に出てくる女性に違和感がなく、現実のようにさえ思った作品。
絃の聖域 ★★★★★
"伊集院大介シリーズ"。 人間国宝、長唄の安東流家元の邸内で女弟子が殺されたことから始まるストーリー。
これも、きっと"やおい"に入れられちゃうんだろうな〜。
でも、そこにあるのは、ただ「好き」とかじゃない、真摯な気持ちで、読んでいて泣けてくる。
優しい密室 ★★★★★
後に伊集院大介のワトスン役になる、森カオルと伊集院大介が出会う作品。
他のシリーズほど印象が強いというわけではないけれど、伊集院大介シリーズを読む上で欠かせない作品。
鬼面の研究 ★★★★★
秘境・鬼家荘でロケ取材班が1人また1人と殺されていく…。
というありきたりと言えばありきたりなんだけど、伊集院大介が絡むと、どうもありきたりじゃなくなる。
伊集院大介の存在感を思い知らされる。
そして、その雰囲気が重々しく、なんとも言えない。
天狼星 ★★★★★
伊集院大介の天敵ともなる、シリウスとの最初の出会い。
ファッションモデルが次々と殺され、一体誰がシリウスなのか…。
正直、ちょっとグロい描写もあって苦手なのですが、ストーリーに惹き込まれ、やめられません。
私の一番好きなシリーズ。
天狼星2 ★★★★★
前作、「天狼星」の続編。今回は天才的舞踏家「芳沢胡蝶」をめぐって伊集院大介とシリウスが戦います。
シリウスについて少しづつわかってきて、シリウスも犯罪者でありながら美学を持っている。
だからなのか、シリウスを悪とだけは決めつけられない。
天狼星3 ★★★
これは、今までの「天狼星」から、その後の「ヴァンパイア」や「真天狼星ゾディアック1〜6」につながる、キーとなる作品。
インパクトとしては、1や2に負けるかな?でも、これがないと先に進めない。
新・天狼星ヴァンパイア ★★★★★
ニューヨークでも連続殺人鬼の事件が。そして殺人鬼は日本にも…。
その世界はまるで、真っ暗闇よりも暗闇。
今まで脇役(というか存在が薄かった)シリウスの手先、刀根一太郎がクローズアップされ、殺しに美学など持たず、ただ機械的に殺して行くその姿が、怖さを駆り立てた。
新・天狼星ゾディアック ★★★★★
死んだと思っていたシリウスが復活し、謎めいたカードが流行ったり、不気味さを増している。
だけど、復活したのは本当にシリウスなのか、本物だとしたら、どうやって?などと謎がいっぱいで、長編と考えている暇もなく、どんどん読み進めちゃいました。
1〜6巻まである長編。
仮面舞踏会 ★★★★★
伊集院大介の帰還です。
今回はパソコン通信が手段になっていて、インターネット普及前のパソコン通信時代を知っている人には懐かしいかもしれません(そういう私も懐かしかったクチ・苦笑)
ネットのバーチャルな世界が現実とリンクしていくあたりが、現代だな〜と思わせます。
魔女のソナタ ★★★★
前作「仮面舞踏会」で登場した、アトム君は出てきません。今回は非常に狭い女性だけの世界で起こる殺人事件です。
限定され、かつ女性だけの特殊な世界で、男性の伊集院大介は浮いていたけれど、推理は冴えていました。
タナトスゲーム ★★★★★
女性向け同人誌の世界で事件が起こる。
「魔女のソナタ」も狭い世界で起こったけど、今度の事件はもっと狭い。しかも、女性特有の心理があったりするから、そこが怖いと言えば怖いですが、ある意味わかりやすい。
ただ、伊集院大介もさすがに女性心理はわからなかったようです(苦笑)
聖者の行進 ★★★★★
久々の藤島樹もの。藤島樹が若い頃に勤めていたバーのママをとりまく様々な事件。
そして、クリスマスにママが死ぬ。
その事件を解決したのは、伊集院大介。
女装の人や男装の麗人が出てくる中、伊集院大介がすごくおとなしく見える。
ストーリーは、ゆっくりとしたテンポで始まるのですが、氏お得意の退廃的なムードに呑まれ、すぐに作品の中に引きずり込まれます。
水曜日のジゴロ ★★★★★
藤島樹もの。
樹の店に、やたらと綺麗な男がやってくる。
それから始まる連続殺人。
男装の麗人、樹も綺麗な男にひどい目にあわされ、犯人かと思うが…
セクシャリティーを含んだものではありますが、根本は「愛」に変わりはない、と教えられます。
真夜中のユニコーン ★★★
伊集院大介シリーズですが、ラストまで出て来ません。
その代わり、アトムくんが物語のはじめから出て来ます。
最初は結構面白いかな?と思ったけど、途中から「ん〜?」と思うところもあり、最後はなんだかイマイチな気が…。
ミステリーとしての楽しみはちょっとイマイチかもしれません。
けっこういい家庭に育ち、いい大学に入って、ジャズが心底好きになってしまった青年。
場末のキャバレーで、まわりとのギャップに四苦八苦しながら、プロのジャズマンとして働き始める。
普通、小説ってストーリーが重要だったり、文章だったりするんだけど、栗本氏の場合はまさに筆力だとしか言いようがない。
映画なら、映像なのでその情景が伝わってくるけれど、氏の場合、文章だけでその情景が簡単に浮かび、そしてその場の匂いまで感じとれてしまいそうな雰囲気。
ページを開いた瞬間から、その本の世界に嫌でも引きずりこまれ、出て来れなくなる。
そんな青年の姿がとてもリアルで、そしてまた胸にずしんと来た。
この作品が出た当時、雑誌「JUNE」がさかんだったので、正統な作品というよりはやおい扱いを受けているけれど、ひとつの文学としてもいい作品だと思う。
だけど、翼あるものと同じで、芸能界の厳しい中を生き抜いていこうとする、今西良の姿には心奪われる。
男同士のSEXとか、そんなものが書きたいんじゃない。
氏が書くのはあくまでも人間だ。
今西良の生き方、魂の叫び、そんなものに私は魅了されて、読後1週間ボケーっとしてた覚えがあります(苦笑)
というところから始まるストーリー。
この人に古い時代の日本を書かせたら、右に出る人はいないだろう。
ミステリーといえばミステリー。
しかし、最後の 「――六道ヶ辻にいくたびこの身は迷うとも、六道能下の導きはいらぬ。儂は幾度なりとも畜生道に踏み迷い、天上界へは成仏せず――」という言葉が、大導寺家を言い表している。
女性ふたりの遺骨が見つかるところから物語ははじまります。
女学校で、同級生の女性に憧れるところから始まる、まるで吉屋信子のストーリーを想像しちゃいそうですが、結構暗いかも(苦笑)
はじめは、声をかけられるだけで喜んでいたのに、どんどん二人の距離が縮まり、そのことでいじめられた笙子をかばうあたりから二人の仲は急速に縮まって行きます。
最後には、二人は心中します。激しいまでのまっすぐな想いに思い切り泣きました。思い入れの強い作品。
ちょっと江戸川乱歩調の作品。
でも、大導寺竜介の青春と言うよりは、正直、藤枝清顕の青春の方があってるような…。
まぁ、大導寺シリーズなんで仕方ないんですが。
でも、藤枝清顕が可愛い。
大導寺竜介などの男くささから、今度は一転して、女性の柔らかさが出て来た作品。
だけど、やっぱり大導寺シリーズだけあって、悲劇です。
そんな彼を助けたのはダイドウジを名乗る人物だった――。大道寺と大導寺。死者たちの宴に彩られ、彼ら一族の忌まわしき過去が紐解かれていく。
今回の物語の舞台は、明治でも大正でもなく、昭和の戦後です。氏にしては珍しい時代です。
まぁ、でも退廃的な時代…という点では氏の強い時代か。
しかし、シリーズもここまで来て、こんなに救いがないのも…と思ってしまった。
現代において、昔の古き良き日本のミステリが書けるのは、もしかしたら、この人かもしれない。そんな風に思う一冊です。
私はこの作品を読むまで、ネフェルティティについて知らなかったのですが、この作品を読んで、すごく興味を持ち、調べました。
史実に出てくるネフェルティティと作品に出てくる女性に違和感がなく、現実のようにさえ思った作品。
これも、きっと"やおい"に入れられちゃうんだろうな〜。
でも、そこにあるのは、ただ「好き」とかじゃない、真摯な気持ちで、読んでいて泣けてくる。
他のシリーズほど印象が強いというわけではないけれど、伊集院大介シリーズを読む上で欠かせない作品。
というありきたりと言えばありきたりなんだけど、伊集院大介が絡むと、どうもありきたりじゃなくなる。
伊集院大介の存在感を思い知らされる。
そして、その雰囲気が重々しく、なんとも言えない。
ファッションモデルが次々と殺され、一体誰がシリウスなのか…。
正直、ちょっとグロい描写もあって苦手なのですが、ストーリーに惹き込まれ、やめられません。
私の一番好きなシリーズ。
シリウスについて少しづつわかってきて、シリウスも犯罪者でありながら美学を持っている。
だからなのか、シリウスを悪とだけは決めつけられない。
インパクトとしては、1や2に負けるかな?でも、これがないと先に進めない。
その世界はまるで、真っ暗闇よりも暗闇。
今まで脇役(というか存在が薄かった)シリウスの手先、刀根一太郎がクローズアップされ、殺しに美学など持たず、ただ機械的に殺して行くその姿が、怖さを駆り立てた。
だけど、復活したのは本当にシリウスなのか、本物だとしたら、どうやって?などと謎がいっぱいで、長編と考えている暇もなく、どんどん読み進めちゃいました。
1〜6巻まである長編。
今回はパソコン通信が手段になっていて、インターネット普及前のパソコン通信時代を知っている人には懐かしいかもしれません(そういう私も懐かしかったクチ・苦笑)
ネットのバーチャルな世界が現実とリンクしていくあたりが、現代だな〜と思わせます。
限定され、かつ女性だけの特殊な世界で、男性の伊集院大介は浮いていたけれど、推理は冴えていました。
そして、クリスマスにママが死ぬ。
その事件を解決したのは、伊集院大介。
女装の人や男装の麗人が出てくる中、伊集院大介がすごくおとなしく見える。
ストーリーは、ゆっくりとしたテンポで始まるのですが、氏お得意の退廃的なムードに呑まれ、すぐに作品の中に引きずり込まれます。
樹の店に、やたらと綺麗な男がやってくる。
それから始まる連続殺人。
男装の麗人、樹も綺麗な男にひどい目にあわされ、犯人かと思うが…
セクシャリティーを含んだものではありますが、根本は「愛」に変わりはない、と教えられます。
その代わり、アトムくんが物語のはじめから出て来ます。
最初は結構面白いかな?と思ったけど、途中から「ん〜?」と思うところもあり、最後はなんだかイマイチな気が…。
ミステリーとしての楽しみはちょっとイマイチかもしれません。
